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◆◆中国3◆◆遠藤誉女史の中国本を読むことを中断することにした。以下、その理由を示したい。端的に言えば、遠藤女史が本当に知らないのかあるいは知らないふりをしているのか、それは分からないが「台湾企業TSMCの本質」を見誤っているからだ。

遠藤誉女史の中国本を読むことを中断することにした。以下、その理由を示したい。端的に言えば、遠藤女史が本当に知らないのかあるいは知らないふりをしているのか、それは分からないが「台湾企業TSMCの本質」を見誤っているからだ。

 私がこのように判断したのは今年2021年5月9日付けの遠藤女史のブログ記事「台湾のTSMCはなぜ成功したのか?」を読んだからだ。この記事の中で「日本の半導体はなぜ沈没してしまったのか?」の理由がふたつ示されている。一つは、「アメリカの圧力」というものだ。これは日米半導体協定のことを指している。このことはウィキペディアにも書かれてある。もう一つは、「経営者の思考が時代の流れについていけなかった」としている。それは日本人に「チャレンジ精神」「ベンチャー精神」が欠けていたからだと。

 遠藤女史のこの説明は、一般受けするものであり、なんとなく理に適っているように思われるので、「なるほど」と思ってしまう。中国・浙江省出身の、TSMC創業者モリス・チャンの「サクセス・ストーリー」もこの記事の中にある。中国の戦火(国共内戦)を逃れて香港へ、そしてアメリカへ、苦学ののち米IT企業で働く、そして台湾政府の要請に応じて…。

 遠藤女史が、このような「定説」しか書けないのは「仕方がない」ことなのだろうか?この「定説」を覆したのは深田萌絵女史だ。深田萌絵女史だけだ。そして深田女史がそれを本(『日本のIT産業が中国に盗まれている』)にしたのは2年以上前、雑誌でそのことを告発したのはもっと前だ。

 そして今、日本政府のTSMC誘致・異常な優遇政策が批判されている時に、遠藤女史は、「TSMCは成功した素晴らしい台湾企業だ!」という趣旨の記事を「安易に」書いたのだ。

 私は遠藤女史の著書『チャーズ』そして今回の『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』を興味深く読んだ。前者は涙なしには読めない。後者はその緻密な分析に舌を巻いた。そしてそこには習近平への「禁じられた共感」さえも渦巻いていた。「なぜ鄧小平の謀略は成功したのか?」を緻密に、執拗に、分析した。

 私たちはすでに、「深田萌絵」を知っている。TSMCがどのような企業なのかを知っている。ふつうの大企業ではない。ふつうの民間企業ではないのだ。いみじくも遠藤女史も書いているように、「台湾政府」の要請で、モリス・チャンは台湾に帰国したのだ。

 遠藤女史は本の「あとがき」で、「私の一生は中国共産党との戦いに費やされたようなものである」と書いておられる。そうなのかもしれない。国共内戦における八路軍中国共産党軍)がいかに残虐非道であったか、身を以ってご存じなのだと思う。ならばなぜ、中国共産党と国民党の「境界線」が曖昧なことを隠すのか?中国共産党を率いた毛沢東は、「共産主義国家」をはじめから作ろうとしていたわけでない、そのことを指摘したのは、他ならぬ遠藤女史ご本人なのだ。なぜ、国共内戦に敗れて、外省人として台湾に渡った中国人を、無条件に信頼するのか?なぜTSMC創業者モリス・チャンや系列企業の人脈を分析しないのか?なぜ、分析しようともしないのか?

 遠藤女史は、著書『習近平~』の最終章で「日本はそれでいいのか」と書き、「人間はなんのために生きているのか?日本の覚悟を問いたい」と締めくくっている。私は逆に、遠藤女史に問いたい。あなたは「この執筆が人生最後の執筆になるかもしれないと覚悟して」と書いておられるが、本当に「この執筆」を最後にしていいのですか?あなたは中国と台湾のことを、日本人に誤認させることを目的に執筆してきたのですか?

 「深田萌絵以前」と「深田萌絵以後」では、中国と台湾の「風景」が全く違って見える。「深田萌絵」を知ってしまった以上、日本人だけでなく、欧米でもどこでも、これまでの「世界観」が違うものに変容した。そしてこの「世界観」は、この数十年間、日本および世界で起こってきたこと、今起こっていることを合理的に説明するものとして、蓋然性が高い。

 「中国共産党のことなら遠藤誉を読めばいい」と思っていただけに、5月6日のブログ記事「台湾のTSMCはなせ成功したのか?」を残念に思う。中国共産党を裏から支援するプロパガンダ記事としか思われないのだ。

 

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