満洲7:岡田英弘氏の著書『やはり奇妙な中国の常識』。中国は隣国でありながら、これほど違うのか唸らせる。軽口を交えつつ、中国の本質に斬り込んでいる、とても面白い本。
岡田英弘氏の著書『やはり奇妙な中国の常識』(原題『中国意外史』)を読み終えた。14本のエッセイ(論文)があるが、そのうちの10本は1978年~1979年頃に書かれた。なぜ書かれた時期にこだわるのかというと、この本には良くも悪くも「危機感」めいたものが感じられないからだ。余裕があったのだと思う。当時日本は高度経済成長を達成して豊かになっていた。一方の中国は貧しかった。じゃあこの本は面白くないのかというとそうではない。岡田英弘氏の本格的な研究書も何冊か読んだが、「学術書」であるにも関わらず実におもしろかったのだ。その岡田氏がつまらないものを書くわけがない、という先入観は、今回も否定されなかった。ただ中国に対する「余裕」がどうも今の私には馴染まず、読むのをやめようかとふと思いつつ、少し我慢して読み進めると、いつの間にかまた夢中に読んでいたりして、いつしか読み終えていた。もともと月刊誌の中国にまつわる「エッセイ」なのだから、肩の力を抜いて楽しく読めばいいわけで、その要求に見事に答えるものなのだな、と合点がいった。とはいえ、これは岡田英弘氏の本である。中国が経済的にも軍事的にも強くなってきた現在読めば、「なるほど、こんなに中国ってのは奇妙なんだな」では済まないものが内包されている。「中国人」の行動原理、思考原理が分かれば、外交なり安全保障の上でも、より的確な対処ができる。そのヒントが多分にこの本にもあると思う。
なお、14のテーマは次の通り。
人口
秘密結社1
秘密結社2
秘密結社3
食人
笑
漢字1
漢字2
性
恋愛
結婚
恐妻
死
神
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