ブログ「偉人列伝」(小説・批評・文芸・映画・政治・

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『実録アヘン戦争』を読む3:陳舜臣著、中公新書。アヘン戦争の急所を押えた、読みやすくて面白い良書。

エリオット(イギリスの代表)はアヘンを持ち込まないという宣誓書に署名することを拒否し、広州にある「夷館」を出た。アヘンを持ち込まないことを約束すれば、それまで通り貿易はできるのだが、イギリス人は強硬なエリオットの命令に従った。

 

イギリス政府が正式に清国への派兵を決定したのは1840年2月。戦費の支出を巡って国会で議論された。戦費の支出を承認するか否かの評決は、賛成271票、反対262票という、わずか9票の差で、戦費支出が承認された。反対派の一人「グラドストン」の演説の一部が抜粋されている。

 

≪・・・その原因がかくも不正な戦争、かくも永続的に不名誉となる戦争を、私はかつて知らないし、読んだこともない。いま私と意見を異にする紳士は、広東において栄光に満ちてひるがえった英国旗について言及された。だが、その旗こそは、悪名高い禁制品の密輸を保護するためにひるがえったのである。現在中国沿岸に掲揚されているようにしか、その旗がひるがえらないとすれば、われわれはまさにそれを見ただけで恐怖をおぼえ、戦慄せざるをえないであろう≫

 

この本は普通の新書本なので仕方がないが、はじめに紹介された林則徐の友人たち、宣南詩社の仲間であるキョウ自珍や魏源らのことが、ほとんど書かれていない。小説『阿片戦争』の方に存分に書かれているのだろう。官僚の腐敗、貿易独占商社「公行」の腐敗、皇帝の「失政」などにも言及されているが、この戦争が不義の戦いであったことがよく分かる良書。

 

次からは林則徐の伝記を読む予定。

 

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