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石井孝13:『戊辰戦争論』。「国際法」が戦局を決した。(本当は、「国際法」そのものがではなく、その「運用」が。)

戊辰戦争論』を読み終えた。

今回読んだのは、若松城会津)陥落以後のことで、「蝦夷動乱」が最大の事件。

第四章の第一節のタイトルは、「蝦夷動乱の発生と交戦団体権問題」となっている。

「交戦団体権」という、あまり聞きなれない言葉が出てくるが、これが実は、重要な意味を持つ。

続いて第二節のタイトルは「局外中立撤廃の過程」というものである。

「交戦団体権」にしろ、「局外中立」にしろ、そのどちらも「国際法」に関わる。

国際法上、東北諸藩(あるいは蝦夷に依拠した旧幕臣たち)と新政府との「戦争」を「内戦」と認定するか「反乱」と認定するかが、「戦争」の帰趨に、控えめに言っても、多大な影響を与えた。

なぜならその認定によって、軍事物資、当時の最新鋭の軍艦までも、戦争当事者に届けられるか否かが決定されうるからだ。

認定した諸外国とは、英仏蘭露伊米の6カ国だった。

「局外中立」というのは、ようは「内政不干渉」のようなものだが、少し違う。

この少しの違いが、「戦争」の局面によって、重大な意味を持つ。

(銃弾が払底している時に、銃弾の補給を受けることができなければ新式の銃も使い物にならないし、人員(兵士)の輸送を巨大な外国の軍艦で請け負ってもらえれば、戦局が一気に動くこともある。)

で、「国際法」なのだが、法というものは一般に条文として明記されていても、解釈や運用が、明記された条文以上に重大な意味を持つこともある。どのタイミングでどのように解釈され、どのタイミングで運用が「変更」されたのか、など。

そうした、戦局に重大な影響を及ぼした「国際法」がらみの話も興味深かった。

 

石井氏は、戊辰戦争の本質を、「絶対主義形成の二つの途の戦争」と見ている。

一つは「天皇制絶対主義」、もう一つは「大君(徳川)制絶対主義」である。

この視点は鮮やかで説得力のあるものだった。

また「西南辺境型領国」と「東北辺境型領国」の説も興味深いものだ。

 

この本には、文庫の小説などにあるような「解説」はないが、とある学者の感想のようなものはあった。

基本的にこの本に好意的なように書かれてあるが、石井氏の「維新論」の核心部分が誤りである、というような書き方がされていて、不快なものだった。

誤りであるというならば、きちんと論証してほしい。

とはいえ、「現在の研究水準」はとても高くなっているとのことなので、確認してみたいとも思う。(なお、『戊辰戦争論』の初版が出たのが1984年で、例の感想が書かれたのが2007年)

 

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