ブログ「偉人列伝」(小説・批評・文芸・映画・政治・

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江藤淳氏と吉本隆明氏との対談集を読んでいる。 1982年の対談「現代文学の倫理」が面白い。 この対談の主要なテーマは、「現憲法(現在の日本国憲法)の成立過程とその隠ぺいによる戦後日本」といっていいと思う。

 

江藤氏が憲法に関する研究をしていて、雑誌や本の執筆という形で発表しておられたので、そうした本について、吉本氏が「質問」して、それに江藤氏が応える、といった流れが対談の前半部分。(あるいは4分の3くらい)


吉本隆明という人は、とても恐ろしい人だ、という先入観がなぜかあって、この対談での吉本氏の「温和さ」に少々驚いたが、しかしそうは言っても、吉本氏は、温和ながら、相当に挑発的な事も言っている。
だから江藤氏は、鋭利に端的に説得的に、畳みかけるように吉本氏に説明する。
そして江藤氏も吉本氏の考えを聞いて、「うかがっていて、吉本さんもずいぶん楽観的だなあと思いましたね」と。


お二人の思想的な立ち位置は全く異なるが、それでも興味深く読めるのは、お二人の言葉に実感がともなっているからだと思う。
どこかの誰かの言葉ではなく、自分自身の言葉で話をしておられる。
「当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれないが、憲法問題や敗戦後の日本の思想、状況などを、実感のこもった自分自身の言葉で語る人は、多くはないと思う。
難しいだけで意味不明、という「語り」があまりに多いのではないだろうか。


吉本氏は、敗戦の年、1945年、21歳の青年だった。


思想的にも年齢的にも「軍国少年」だったとは言い難いが、江藤氏に勝るとも劣らない気概を感じさせる人だ。


(この対談では終始温和な感じだが、吉本氏の代表的な著書、たとえば、『言語にとって美とは何か』という本では、その文章の端々から、強烈かつ重量感のある人柄を彷彿とさせた。なお『言語にとって美とは何か』というタイトルは、ややとっつきにくい感があるが、乱暴に言えばそれは、「新たなる文学史」であり、「生きた文学史」とでも言いたくなる内容だった。読みながら圧倒されっぱなしだった。)


なおこの対談では、川端康成三島由紀夫についても論じられている。

 


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