ブログ「偉人列伝」(小説・批評・文芸・映画・政治・

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夏目漱石の『虞美人草』。

漱石の『虞美人草』です。この小説は、二人の青年の山登りのシーンから始まります。暗い感じの「甲野さん」と明るい感じの「宗近君」です。

≪(前略)
「あのけぶる様な島は何だろう」
「あの島か、いやに縹渺(ひょうびょう)としているね。おおかた竹生島だろう」
「本当かい」
「なあに、いい加減さ。雅号なんざ、どうだって、質(もの)さえたしかなら構わない主義だ」
「そんなたしかなものが世の中にあるものか、だから雅号が必要なんだ」
「人間万事夢の如しか。やれやれ」
「ただ死という事だけが真(まこと)だよ」
「いやだぜ」
「死に突き当たらなくちゃ、人間のうわきは中々やまないものだ」
「やまなくってよいから、突き当たるのはまっぴら御免だ」
「御免だって今に来る。来た時にああそうかと思い当たるんだね」
「誰が」
「小刀細工の好きな人間がさ」
山を下りて近江の野に入れば宗近君の世界である。高い、暗い、日のあたらぬ所から、うららかな春の世を、寄りつけぬ遠くに眺めているのが甲野さんの世界である。≫

性格は、正反対のように見える甲野さんと宗近君ですが、親友といっていい間柄です。今、甲野さんは、中々厄介な事態に陥っていて、気晴らしに旅行に出かけたのでした。

今回引用したような、登場人物たちの「気軽な会話」も、とてもおもしろいです。

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