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映画『アレクサンドリア』

映画『アレクサンドリア』(原題:AGORA)2009、スペイン、

最近は、シュロモー・サンド氏の『ユダヤ人の起源』(ちくま学芸文庫)を主に読んでいる。そろそろ中盤にさしかかっている。第三章の章題は、「追放の発明―熱心な布教と改宗」となっている。

ユダヤ人というと、現代日本では、ナチスによる残虐なホロコーストの犠牲者として、まず記憶されていると思う。そして最近では、トランプ大統領の「エルサレムを首都と認定する」発言によって、イスラエル国家、ユダヤ人が注目を集めている。

確かにイスラエルは日本から遠い国ではあるが、中東情勢が激動しているわけで、化石燃料の乏しい日本にも、ものすごいインパクトのあることだ。トランプ大統領が、文字通り、世界を激震させているのだ。

佐藤優氏が『僕らの頭脳の鍛え方』という本の中で『ユダヤ人の歴史』という三冊からなる長大な本を紹介していたので、以前、一通り読んだので、それなりにユダヤ人のことを知った気にはなっていた。とても面白かった。

面白い本というのは、世の中に無数にあって、どうしてもドンドン読みたくなって、つい乱読してしまうのだが、これは要注意かな、と今は思っている。佐藤氏は上記の本の中で、二百冊の本を紹介している。共著者の立花氏も二百冊紹介しているから、全部で四百冊。それを全部読んでやろうと心に決めて、それなりにちゃんと、七割方、読みました。佐藤氏の二百冊に関しては、九割くらい。

佐藤氏は、一冊の本を、三回通り読むように勧めているので、なるべくそうしたが、そうできなかった本も多々あって、『ユダヤ人の歴史』もその一冊。夢中で読んだが、そのあとにまた、別の本をどんどん読んでいった。だから大した記憶にもなっていない。

だから私は最近、精読を心がけているが、乱読もありだと思う。特に若い人は、自分の専門にこだわることなく、どんどん読んだらいいと思う。多少難しく感じる本も、最初の五十ページを苦労して読めば、あとはけっこう楽に読めます。これは、読解能力も全く無関係ではないが、意地というか、気合というか、「絶対に読み解いていやる」という意志があれば、読めます。世界が広がる。


だいぶ話が逸れました。『ユダヤ人の起源』です。第三章です。ここにきて、どうも頻繁に、「アレクサンドリア」という、エジプトの古代都市が登場する。

アレキサンダー大王は、ペルシア帝国を滅ぼし、中央アジア、インド北西部にいたる広大な領域を平定した。アレキサンダー大王は、病没?(毒殺?)された(紀元前323年)。アレキサンダー大王の友人であり側近であり将軍でもあったプトレマイオスは、アレキサンダーの死後、祖国マケドニアに戻らず、平定先のエジプトで「プトレマイオス王朝」を開いた。エジプトの王様になったのだ。その首都が、アレクサンドリアだ。

アレキサンダー大王は、ギリシア人だった。プトレマイオスもそうだ。(マケドニアギリシャの一部で当時ギリシャ全体を支配していた)だから、エジプトのプトレマイオス王朝は、ギリシア人を戴く王朝である。そのギリシャ人の王朝の首都が、アレクサンドリアだった。

アレクサンドリアで、ギリシャ文化(ヘレニズム文化)が花開いた。その象徴が、アレクサンドリアにあった有名な大図書館だ。(西暦391年に焼失。どの程度の書物が残ったのか私は知らない。なおこの事件のあと、アレクサンドリアでは、キリスト教ユダヤ教のみが認められることになった。ギリシャ、ローマの伝統である多神教の神々は、禁止されたわけだ。)

映画『アレクサンドリア』では、キリスト教との闘いがクローズアップされていたように思う。中にはユダヤ教徒も登場していたかもしれないが、記憶にない。だいぶ前に見たから。そしてキリスト教徒との闘いがすごかったから。実際、知らないことばかりだったから。副島隆彦氏は、著書『政治映画評論―ヨーロッパ映画編』で書いておられる。

≪この西暦391年の事件のあと、アレクサンドリアではキリスト教ユダヤ教のみが認められることになり、(後略)≫P15


私が驚いているのは、多神教が否定されたあとも、キリスト教一辺倒になったのではなく、ユダヤ教も認められていた、ということだ。あるいは、シュロモー・サンド氏の本を読みながら感じていることだが、ユダヤ教キリスト教が、現代の私たちが考えるほど明確には、分かれていなかったのかもしれない。

この西暦391年のアレクサンドリアにおいては、ユダヤ教は、迫害される側ではなく、迫害する側であったことは事実のように思える。


ともあれ、映画『アレクサンドリア』は、面白かった。もう一度観てみたい。副島氏はこの映画を「ヨーロッパの戦う女の原点を発掘した大作」としている。ヒュパティアという若く美しい女性「科学者」「天文学者」が主人公だ。

太陽中心説(地動説)の研究をしていた!
17世紀のヨーロッパで、ではない!
4世紀のエジプトで!
ヒュパティアという女性が!

映画『アレクサンダー』も同時に見ると、理解が深まると思う。副島氏も書いておられる。

≪世界史の勉強には、優れた政治映画をたくさん見るのが一番である。≫P11

 

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