ブログ「偉人列伝」(小説・批評・文芸・映画・政治・

いろいろ書きます。 メルマガ「偉人列伝」もどうぞ。 ご登録はこちらから。 → http://www.mag2.com/m/0001682071.html

(6月の記事を再掲。若干の追記あり)。佐藤優著『高畠素之の亡霊ーある国家社会主義者の危険な思想』

佐藤優著『高畠素之の亡霊』(新潮選書)を一通り読み終えた。


おもしろい。


高畠の徹底した「性悪説」は、衝撃的だ。
性善説」にしろ「性悪説」にしろ、どちらもなんとなく知っているような気になっていたが、高畠の(佐藤氏の)「性悪説」は徹底している。


私の理解では、キリスト教でいう「原罪」が人間の「性悪」とイコールだ。


キリスト教のことはあまり知らないが、ここで展開されている「性悪説」には、愕然とするほどの説得力がある。


人間は「性悪」であるから、永遠に、国家はなくならない、というのが、高畠氏の認識だったようだ。(つまり、「資本論」を三回翻訳したにもかかわらず、高畠氏は、マルクス主義者ではない。)


では、どうしたらよいか?と高畠氏は考えた。
その答えが、国家社会主義だった。
国家社会主義は、イタリアのファシズムの考え方に近い。
しかしファシズムは、ナチズムに呑み込まれてしまった。以下引用。



≪高畠が、自ら提唱した国家社会主義ともっとも親和的と考えたムッソリーニファシズムは、一九三〇年代にヒットラーのナチズムに呑み込まれてしまった。ファシズムの知的に複雑な操作を加えた超越性が、ナチズムの単純な「血と土」の神話に圧倒されてしまったのである。≫(『高畠素之の亡霊』P452)



本書は、佐藤優氏の著書『官僚階級論』『ファシズムの正体』『悪の正体』の続編としても読めると思う。


逆にいえば、上記三冊を先に読んでおくと、『高畠素之の亡霊』を読みやすい。


神学というのは、恐るべきものだなと思う。

この本のタイトルは、『高畠素之の亡霊』だ。
佐藤氏は、今、その、高畠素之の亡霊が、よみがえった、と認識している。
佐藤氏は、今、その亡霊の「悪魔祓い」をしているのだ。
どのように?
以下引用。



≪筆者は、二十一世紀に甦った高畠の亡霊を再びキリスト教神学の世界に誘うことを考えている。≫(同、P453)



本書は、佐藤優氏と「高畠素之の亡霊」との論争の書、だといっても過言ではない。
かつ、柄谷行人氏との論争の書でもあると思う。


f:id:someone1998:20180626003852j:plain

f:id:someone1998:20180626004441j:plain


____

メルマガ「偉人列伝」。

ご登録はこちらから。

http://www.mag2.com/m/0001682071.html


____




新刊・話題の本。佐藤優著『高畠素之の亡霊―ある国家社会主義者の危険な思想』(新潮選書)。 ≪「悪によって悪を克服する」という思想の間違いに、われわれは気づかなくてはならない。≫(まえがきより)。写真は、「今、大学を目指している君へ」という題の、 馬渕清資氏からの「手紙」。(中日新聞2019年1月18日に掲載。)

 

この本は、戦前の日本で多大な影響力のあった高畠素之(1886年~1928年)という思想家を検討、吟味し、批判する書物です。


私はこの本を、佐藤氏の著書『悪の正体』『官僚階級論』に続く、「第三部」の書物として読みました。

 

昨年初夏に通読しましたが、今思うのは、やはりこうした難解な思想書は、繰り返し読むべきだ、ということです。

 

第一章の「不良神学生」を再読してみて、初期マルクスと後期マルクスの決定的な違いがわかりました。この差異は、ヘーゲル左派とマルクスの違いといっていいと思います。国家と社会についての考え方が、決定的に違います。

 

それから第十九章「有識者」の最後のところに、以前読んだ時に赤ペンで印をつけた個所が目にとまり、驚きました。そこには、こう書かれていたのです。

 

≪高畠が重視する友情は、自然的な共同体から生まれるものではない。≫(P362)

 

有識者」というタイトルのついた章です。ここでも佐藤氏は、高畠を批判しています。その友情は、「自然的な共同体から生まれるもの」ではない、と。「知の力によって、再結合しようとするアソシエーション」とも書かれている。「アソシエーション」というと柄谷行人氏を想起しますが、これはひっとすると柄谷批判でもあるのかもしれない、あるいはそうではないかもしれない。この章もきちんと再読したいと思います。佐藤氏の「共同体」についての考え方も魅力があり説得力があるのです。

 

_

 

f:id:someone1998:20190118122354j:plain

 

写真は、「今、大学を目指している君へ」

馬渕清資氏からの「手紙」。中日新聞2019年1月18日。

____

 

 

メールマガジン「偉人列伝」、

 

ご登録はこちらから。

http://www.mag2.com/m/0001682071.html

 

____

 

ブログ「偉人列伝」

 

http://akisaburo.hatenadiary.jp

🌅贈る言葉。「矛盾にぶつからない思考が合理的なのではない。矛盾にぶつかることを恐れない思考が合理的なのである。つまり矛盾に直面しない思考とは、中途半端な思考であり、いわば矛盾することを恐れて、問題を回避した思考なのだ。しかし人は…」

 

山崎行太郎先生の著書『小林秀雄ベルクソン』(彩光社)の冒頭です。


フランスの哲学者・アンリ・ベルクソンには、『創造的進化』という著書があります。(ベルクソンは、1927年に「ノーベル文学賞」を受賞した人で、その著書『創造的進化』は、世界中で読まれたようです。

 

受験のシーズン、勉学に励む高校生らに、山崎行太郎先生の『小林秀雄ベルクソン』を推薦したい。

 

簡単な本ではないのでササっと読むことはできないが、一文一文、右往左往しながら一時間ぐらい読んでみると、頭がすっきりして、受験勉強に集中できるかもしれません。

 

簡単な本ではない、と書いたけれど、もし最初の数十行にハマれば、簡単な本です。一気に読みたくなる。

 

今時の若者は、耳にタコができるくらい「進化」という言葉を聞かされているようだが、「進化」とはいったい何なのか、まだまだ、まだまだ謎だ。「進化」という言葉だけが氾濫している。

 

合理的に進化することなどできない。なぜなら、まだ解明されていないのだから。そしておそらく、永遠に解明されることはないから。

 

受験勉強に疲れたら、コーヒーの代わりに、数十行読んでみてください。コーヒーよりもはるかに脳が活性化するかもしれません。

 


____



メールマガジン「偉人列伝」、


ご登録はこちらから。

http://www.mag2.com/m/0001682071.html


____


ブログ「偉人列伝」

http://akisaburo.hatenadiary.jp

 

映画『遥かなる勝利へ』を見た。

ニキータ・ミカルコフ監督作品。

三部作の最終作。

戦火のナージャ』『太陽に灼かれて』に続く最終話。


これは見た方がいい。


戦争映画だが、「勇気」と「愛」と「忍耐」があり過ぎる。


テーマは、「頑張るお父さんの夢」かな。


f:id:someone1998:20181227062227j:plain

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。この映画も中年男が主人公だ。

最近のアメリカ映画は、なんか切羽詰まっている感じ満載だ、と思っていたが、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』という映画は、意外に良かった。


マンチェスター、というからイギリス映画かなと思ったら、そうではなかった。マンチェスター・バイ・ザ・シーという町が、アメリカ東部、ボストンの近くにあるというのだ。


しかしやはり、現代のアメリカは、重い。

実直な主人公がとても良かった。

実直な中年男が主人公だ。



____



メールマガジン「偉人列伝」、


ご登録はこちらから。

http://www.mag2.com/m/0001682071.html


____


ブログ「偉人列伝」

http://akisaburo.hatenadiary.jp